dimanche 6 avril 2008

復讐するは我にあり


基本的に60年代以降の日本映画は見ない。全く期待していないし時間がない。

この映画は、知名度の高さと、今村作品をまだ見ていないので興味を持ってみてみた。

No Country for Old Men のような、チープな、焦点の定まらない作品だと思う。

サスペンスにしたいのか。何かヒューマニティに訴えたいのか。

サスペンスにしてはクオリティが低すぎるだろう。どきどきさせられる事もなければ
何か wit に富んだアイディアがあるわけでもない。

それでは何か深く人間性に問いかけるものがあるのかと言えば何も無い。
大体実話に基づいた作品というのが総じてこういう風に甘い出来なのだろう。
ストーリー重視の映画なら、実話に基づいてはいけないと思う。創造力が
欠けていると言われても仕方ないだろう。よっぽどの出来でない限り、
実話に基づいた映画などというのは作家としての甘えだ。

実話に基づいていて、そこからクリエイティブに人間を浮き上がらせる、という事は
できる。この映画はそんなレベルまでは達していない。これだけのキャストを
使ってこの内容じゃ勿体ないだろう。

俳優人、緒形拳、倍賞美津子、三国連太郎、清川虹子はさすがに巧かった。
しかしあれだけの俳優を使って出せる筈の人間の深い感情というものが
全然無いでしょう。

キリスト教をテーマに使ってどうしたいのか。父子の関係を持ち出してきて、
何を表現したいのか。イカれた殺人鬼を使って何が言いたいのか。
新約聖書から持ってきた意味深なタイトルにどういう意味があるのか。

結局、何か深刻めいた映画を作るのは簡単だという事である。本当に難しいのは
上質の喜劇を作ることである。だから Cohen 兄弟だったら No Country for Old Men
などよりも、Big Libowski が秀逸である。黒沢だったら赤ひげより用心棒が
作品としての質が高い。薄っぺらい偽善的な映画はもう飽きたしそんなものを
見ている暇もない。

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